特別展「陸羯南から鎌田慧へ」閉幕
−青森県のジャーナリストの系譜−

  特別展「陸羯南から鎌田慧へ−青森県のジャーナリストの系譜−」が平成16年7月16日(金)から8月29日(日)まで開催されました。開会式では、花田隆則青森県教育委員会教育長、澤田教一夫人澤田サタ氏、青森ペンクラブ会長三上強二氏、東奥日報社取締役事業局長塩野勝幸氏、中島邦夫青森県立図書館館長の5人によるテープカットが行われ、東京からは坂田二郎の長男盟夫氏が駆けつけました。
  この特別展は、明治の言論界をリードした陸羯南をはじめ、人物評論の第一人者鳥谷部春汀、日本最初の婦人記者羽仁もと子、記者・戦後モスクワ一番乗りを果たした坂田二郎、ピュリッツァー賞受賞のカメラマン澤田教一、ルポライター鎌田慧に至る多彩なジャーナリストの活躍を紹介し、その足跡をたどるものです。会場には、陸羯南の新聞「日本」創刊号、澤田教一の書簡、鎌田慧の取材ノートをはじめ、直筆原稿や著作物など、約300点の貴重な資料が展示され、鎌田慧、松岡励子、今城力夫、本多勝一ら著名な執筆者からも原稿が寄せられ注目を集めていました。また、55人の県人ジャーナリストを取りあげた「青森県のジャーナリスト一覧」や本県の新聞発行の歴史を振り返る「青森県新聞小史」のコーナーも設けられ、当館で初めて導入された音声ガイド好評でした。

開会式・テープカットの様子 展示室内

《展示資料》

新聞「日本」創刊号
明治22年2月11日
「報知新聞」
明治32年8月6日
坂田二郎 
ロンドンで入手した入ソ査証
澤田教一絵葉書  
昭和41年11月5日 サイゴンの澤田サタ宛



【文学講座】

 特別展「陸羯南から鎌田慧へ」に関連して、7月25日(日)と8月22日(日)の両日、青森県立図書館・集会室で文学講座が開かれました。講師は7月25日が青森県近代文学館評議員の工藤英寿氏と陸奥新報社常勤顧問の泉嶺氏、8月22日が弘前ペンクラブ顧問の千葉寿夫氏と青森県郷土作家研究会会員の齋藤三千政氏でした。受講者からは、文学館常設展示13人の作家の中にも新聞記者出身文人が多いことに驚く声や、これまであまり知られていなかった県出身ジャーナリストの功績等を知ることができて良かったとの感想が寄せられました。

新聞記者としての経験から講演する、泉氏


特別展「陸羯南から鎌田慧へ」
記念講演とシンポジウム開催

  平成16年8月8日、特別展「陸羯南から鎌田慧へ」を記念して、青森県総合社会教育センターを会場に記念講演とシンポジウムが開催されました。基調講演の講師に、弘前市出身で社会派ルポライターの第一人者として活躍中の鎌田慧氏を迎え、「青森県のジャーナリストの系譜」を演題にご自身の貴重な取材経験を踏まえた講演をされました。鎌田氏は、陸羯南にはじまる本県のジャーナリストの偉大な足跡を辿りながら、現代ジャーナリズムの在り方や地方紙の役割について持論を展開しました。世論に弱い現代ジャーナリズムを批判し、羯南のように世論に迎合せず、オピニオンリーダーとして少数派に含まれる真実を見いだしていくことがジャーナリストの基本と提言。ジャーナリストのバックボーンは反権力であると結論づけました。また、シンポジウムでは鎌田氏をコーディネーターに、パネリストとして泉嶺氏(陸奥新報社常勤顧問)、吉田徳寿氏(東奥日報社編集委員)、三上強二氏(青森ペンクラブ会長)を招いてシンポジウムを開催、津軽と南部という本県の風土とジャーナリストの関わりを中心に話が展開し、本県のジャーナリストの魅力とジャーナリズムの神髄に迫るものとなりました。


鎌田慧氏をコーディネーターに迎えたシンポジウム