平成19年度 調査員報告
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渡邊兼敏 調査報告 | |
| 調査対象 | 大室 弘子 おおむろ ひろこ |
| プロフィル | 横山武夫師の教えを忠実に守り、心に沁みる、写実の歌を生涯作り続けた。 |
| 生没年 | 1931(昭和6)年7月24日-2005(平成17)年6月8日 |
| 主な作品 | 「桜の絵時計」 |
| 青森との関わり | 生地は、青森市、大学卒業後、弘前市に居住。 |
| 作家解説 |
大室弘子は、昭和6年7月24日青森市生まれ。大学卒業後、弘前市に在住。中学校教員の傍ら60年間短歌を作り続ける。横山武夫に師事。長年、歌誌『アスナロ』で活躍。アスナロは、子規、左千夫、赤彦、藤沢古実、横山武夫と系統図の連なる短歌の本道でもある。本人も根本に不動のものを持っていて端正な歌が多い。 ・山鳩の鳴く声もわびし土におく吾子の御骨のかすかなる音も ・阿弥陀尼の御手に引かれて行く吾子の姿思ひて合掌をする ・笹の葉に海風吹きて鳴り止まず吾子の眠れるこの北の地は 歌集「桜の絵時計」の巻頭の三首を録した。沈痛な慟哭の声である。味わいの濃い生々とした感情を聴くことができる。 ・休みなく作歌続けよと書きたまふはがきの文字もありがたきかな ・限りある命のこと説きあかすこの生徒らにはほど遠きこと ・無給与の休職となるもなほ職にとどまりたく思ふ業の如きか 大室さんは慈愛に満ちた女教師だった。諦念にもかよう静かな心境の一連である。 ・病名のいくつともなくかさなれば身のまはりをば整へおきたし ・師の歌碑の新聞記事を切りぬきて尋ねゆかむ日を病みゐて待てり 病気と闘いながら熱心に作家活動を続けた。横山武夫の指導を受け正道を学び、温順で確かな歌風を確立した。多年積み上げてきた力量を基礎として優れた歌を残している。自然流露の中にも驚くべき程の鋭敏と工夫の歌を作り続けた。 ・たたなはる四方の山並日に照りて蝉鳴き止まぬ樹海見おろす ・山上に霧立ちのぼり四方の山白夜のごとき底に消え行く ・ただ一人のわが歌の師と仰ぎ来ぬ今日向ふ歌碑に涙さしぐみ |
| 関連資料 | 『桜の絵時計』 図書、2006(平成18)年6月8日、縦194o×横133o 昭和22年〜平成17年6月までの歌誌「アスナロ」「群山」の掲載誌より選出した遺歌集。 |