Vol.48 剣持和夫「北駒込山」
1994年 高さ 874cm ブロンズ
青森県立図書館の敷地には大きな彫刻作品が点々と設置されている。そのうちの5点は1994年3月に「青森県立図書館・近代文学館オープン記念」として開催された「あおもり野外彫刻展'94」で展示された作品である。カタログによれば、海外も含め全国から453点の応募があり、その中から最終審査を経て受賞した5点という。たくさんの応募作品の中から選ばれたのにもかかわらず、残念ながらあまり見るべきものがないのは、このようなコンペの難しさを物語っている。
ここで紹介する剣持和夫(けんもち かずお)(1951― )のブロンズは敷地の最も奥まった所にある小高い小丘に屹立しているが、それと知っていなければ、誰も作品とは思わないだろう。というのは作品のテーマが「生きようとしながら立ち枯れてしまったかのように在る木」だからである。剣持はそのような木を求めて青森の山から山へと探し歩いた。そしてこの作品の原型となるブナの木にめぐり合う。「木はいつ枯れてしまったのだろうか、大地に聳え、風雨にさらされ生きてきたブナの木、深い傷を負った木であった」とカタログに記されている。剣持はその型を取り、ブロンズで鋳造して作品化し、発見場所の地名を作品名とした。こうして朽ち果てる運命にあったブナの枯れ木はその存在の最後の最後の形を永久に青森県立図書館の敷地奥に留めることになったのである。枯れ木の姿形を機械的に複製しただけの彫刻、作家の余計な手は一切入っていない。ただ作家の精神に響いた枯れ木をそのまま提示したものである。われわれもまたいつか消え逝くものであってみれば、消え逝くものに対する作家のまなざしを共有することは、それほど難しいことではない。
(館長・黒岩恭介)
(平成20年03月06日付・毎日新聞「今週のお宝」掲載)
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審査のためのマケット 高さ 55cm ブロンズ、鉄
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